大腿骨寛骨臼インピンジメント:FAI (Femoroacetabular impingement)とは?

“FAI (Femoroacetabular impingement)”とは?

FAIとは、FemoroAcetabular Impingement の略語で、femoro=大腿骨 acetabular=寛骨臼 impingement=衝突という意味で、日本語では大腿骨寛骨臼インピンジメント(股関節インピンジメント)と呼んでいます。股関節を動かしたときの股関節の大腿骨(太ももの骨)側と寛骨臼側(受け皿の骨)の骨と骨のぶつかりを意味します。
FAIによって股関節痛や股関節唇損傷、軟骨損傷が起こることがわかってきました。

FAI

図のような太ももの骨のでっぱり(Cam(カム)変形)は、遺伝が原因であったり、成長期に活発なスポーツを行っていたことが原因であったりと言われています。

FAIは変形性股関節の原因の1つである

また、Cam変形があることで、股関節唇損傷が生じ、最終的には変形性股関節症(軟骨のすり減り)まで至る、以下のようなメカニズムがわかってきました。2,3

  1. 股関節を曲げたり、ひねったりする際に、このでっぱった骨(Cam変形)と受け皿の骨が何度もぶつかり合う
  2. 受け皿の骨と太ももの骨の間に存在する股関節唇が傷つく(股関節唇損傷)
  3. 股関節唇損傷が生じたために、痛みや不安定性(ぐらつき)が生じる
  4. Cam変形が関節唇のみならず、受け皿の軟骨までも削り、その軟骨がはがれてしまう
  5. 軟骨が傷んで変形性股関節症(軟骨のすり減り)に至る
FAI

さらに、このCam変形(太ももの骨の出っ張り)が大きい人は、Cam変形が全くない人と比較すると、変形性股関節症(軟骨のすり減り)になる可能性が約10倍高いと言われています。3*
重要なことは、このCam変形(太ももの骨の出っ張り)は軽度な異常ですので、通常の病院でのレントゲン検査では見逃す可能性があることです。
股関節が痛くて病院に行き、「異常なし」と言われた患者さんの中には、当院ではじめてDunn view (ダンビュー)といわれる特殊な撮影方法でのレントゲン検査で、FAIと診断がつくことがあります。4*
別の病院でうまく診断されていない原因の1つに、FAIは2003年から提唱された比較的新しい概念であり2*、一般の整形外科医がそこまでFAIに詳しく知らないという点が考えられます。Dunn view (ダンビュー)といわれる方法4*で詳しくレントゲン検査を行ったり、詳しくMRI検査を行ったりすれば、診断がつくことがほとんどです。
お近くの整形外科で「異常なし」と言われたとしても、股関節痛が続く場合は、是非股関節専門外来を受診し、精密検査をされることを強くお勧めします。

FAIへの治療方法

股関節唇損傷と同様に、まず保存療法(手術以外の方法)を実践します。 主にはリハビリ、股関節の中への注射、飲み薬です。FAIのCam変形(太ももの骨のでっぱり)自体が自然に治ることは無いのですが、約80%の方は保存療法で痛みが改善します。
保存療法でよくならない場合は、一歩進んだ治療として手術(股関節鏡手術)を考えます。股関節鏡手術(股関節鏡視下手術)では、股関節の外側に小さい穴を2~3カ所作り、内視鏡を入れ、損傷した股関節唇を修復し、かつ同時にCam変形(太ももの骨)をけずる手術を行います。手術の詳細は股関節鏡のページをご覧ください。

FAI
*参考文献

1. Pettit M, et al. Osteoarthritis Cartilage. 2021. How does the cam morphology develop in athletes? A systematic review and meta-analysis.
2. Ganz R, et al. Clin Orthop Relat Res 2003. Femoroacetabular impingement: a cause for osteoarthritis of the hip.
3. Agricola R, et al. Nat Rev Rheumatol 2013. Cam impingement of the hip: a risk factor for hip osteoarthritis.
4. Saito M, et al. Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc 2017. Correlation of alpha angle between various radiographic projections and radial magnetic resonance imaging for cam deformity in femoral head-neck junction.

東京整形外科ひざ・こかんせつクリニック
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