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変形性股関節症の手術適応について

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副院長の佐藤です。
開院から一年が経ち、おかげさまで100件を超える手術を担当させていただきました。これもひとえに信頼してくれた患者様、サポートしてくれるスタッフの皆様のおかげです。心より感謝申し上げます。

今回は、よく外来でお話しする「手術適応」について、ブログの形でまとめました。手術を検討している患者様に少しでも参考になったら幸いです。

手術が必要か?変形性股関節症の悩み

変形性股関節症と診断された患者様の多くは、「自分は手術を受けるべきか?」という疑問を抱いています。治療法には、主に薬物療法、理学療法、そして手術療法がありますが、クリニックに来られる患者様がすぐに手術を選ぶことはまれです。

悩まれている患者様に対して外来では、患者様に「手術をした場合」と「しなかった場合」のベストケースとワーストケースをお話ししています。

手術をした場合の見通し

人工股関節置換術は、20世紀における最も成功した手術の一つと言われており、非常に高い成功率を誇ります。手術の翌日から全荷重でリハビリを開始し、通常1週間ほどで退院できる状態になります。重労働でなければ、1か月程度で職場復帰する患者様もいますし、最近は入院中からリモートワークに復帰される方もいらっしゃいます。

術後の経過が順調であれば、人工股関節が体に馴染み、違和感なく日常生活を送れることが期待できます。スポーツへの復帰も可能で、ゴルフやテニスを楽しまれる方も多いです。

しかし、ワーストケースとしては、術後感染症を発症し、再入院や再手術が必要となる場合があります。稀に、人工関節を除去し、再挿入が不可能なケースもあります。また、術後の骨折や人工関節の緩みなどで再置換術が必要となることも考えられます。

手術をしなかった場合の見通し

手術をしない場合のベストケースは、今は痛みがあるものの、将来的に痛みが軽減し、日常生活に支障なく過ごせる可能性があることです。関節の可動域は制限されるかもしれませんが、それでも大きな不便を感じない場合もあります。

一方、ワーストケースとしては、急速破壊型股関節症などで骨の破壊が進行し、歩行困難や車椅子が必要となる可能性があります。その場合、手術を受けようとしても、骨の損傷が大きく、侵襲性の高い手術が必要になることもあります。

確率を見据えて

大切なのは、これらのケースが起こる確率です。確率は患者様によって異なります。医師としては、患者様に悪い結果を期待して治療を進めることはありませんが、結果には幅があることを認識しています。術後に全く痛みを感じない方もいれば、数年後に痛みが再発する方もいらっしゃいます。これらの可能性を考慮しつつ、手術のインフォームドコンセントを行うよう努めています。

手術適応の基準

変形性股関節症の絶対的な手術適応は、非常に限られた範囲です。保存治療でのワーストケースを想定される場合、手術を強く勧めることがあります。変形性股関節症は癌のように直接命に関わるものではないため、通常は手術の急を要することはありません。ただし、手術を待つことで、将来の手術がより困難になる場合は、早めに手術をお勧めすることがあります。

一方、相対的な手術適応は幅広く、初期の股関節症でも耐えがたい痛みで日常生活に支障がある場合は手術を考慮します。末期の股関節症でも、患者様が日常生活に困っていない場合は、手術を勧めることはほとんどありません。

患者様との対話が鍵

結局のところ、患者様がどのような経過を辿るかを予測し、どのような生活を望んでいるかを伺いながら、最良の選択を共に決めていくことが、手術適応を決める大切な基準だと感じています。不安や迷いがあれば、ぜひ担当医にご相談ください。意思決定のお手伝いができれば幸いです。

東京整形外科ひざ・こかんせつクリニック
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