レントゲンで「異常なし」と言われたのに膝や股関節が痛いのはなぜ?
🦵 レントゲンで「異常なし」と言われたのに膝や股関節が痛いのはなぜ?
少しずつ寒くなってまいりました。コートを出された方もいらっしゃるのではないでしょうか。
副院長の渡部です。今回はレントゲン画像と痛みの関連についてお話させてください。
膝や股関節が痛くなり、整形外科を受診してレントゲンを撮って「骨には異常がありません」と言われたのに、
それでも痛みが続く――そんな経験はありませんか?
実は、レントゲンでわかるのは骨の形だけ。軟骨・靭帯・筋肉・関節包などの軟部組織は写りません。
そのため、痛みの原因が骨以外にある場合は「異常なし」と診断されてしまうことがあるのです。
今回は、レントゲンで異常が見つからない膝痛・股関節痛の原因と診察のポイントを、
整形外科専門医の視点から解説します。
🔹 レントゲンで異常がない「膝の痛み」の主な原因
① 半月板損傷・滑膜ヒダ
膝のクッションの機能を有する半月板や、関節内の滑膜が炎症を起こすと、レントゲンで異常がなくても痛みが出ます。
しゃがみ動作や階段昇降で引っかかる感じ・クリック音がある場合に疑われます。
② 早期の変形性膝関節症(early OA)
軟骨のすり減りがごく初期の段階では、レントゲンではまだ変化が見えません。KL分類で0-2に相当する部分では変化が見えないこともあります。
しかし、関節の内部では骨髄浮腫(軟骨下骨の浮腫やダメージ)や滑膜炎が始まっており、MRIで確認します。
③ 鵞足炎・腸脛靭帯炎(ランナー膝)
膝の内側下方や外側に局所的な痛みがある場合、筋肉や腱の炎症が原因のことがあります。
特にランナーや歩行距離の多い方に多く、押すと痛みが出たり、ストレッチで再現されるのが特徴です。
④ 膝蓋大腿関節(お皿の関節)のトラブル
膝のお皿(膝蓋骨)の動きが悪くなると、階段の下りや立ち上がりのときに膝の前側が痛むことがあります。
太ももの筋肉のバランスが崩れて起こるため、リハビリで改善するケースが多くみられます。
🔹 レントゲンで異常がない「股関節痛」の主な原因
① 股関節唇損傷(こかんせつしんそんしょう)
股関節のふちにある軟骨(関節唇)が傷つくと、レントゲンでは異常がなくても鼠径部に鋭い痛みが出ます。
股関節唇損傷はスポーツ愛好者や若年女性に多く、MRIで診断されます。
② 骨髄浮腫・大腿骨頭壊死症の初期
骨の内部に炎症やむくみが起きている状態で、初期はレントゲンではわかりません。
激しい痛みとともに発症する急速破壊型股関節症の初期も骨髄浮腫のみが出現するためレントゲンではわかりません。
アルコールの多飲歴やステロイド使用歴がある場合は、大腿骨頭壊死症を疑い、MRIで評価することが不可欠です。
③ 筋肉(腸腰筋・大腿筋膜張筋)由来の痛み
股関節の外側や前面に浅い痛みがある場合、筋肉の張りや炎症が原因のこともあります。
股関節の動きは正常でも、ストレッチで痛みが再現されるのが特徴です。
④ 腰椎・仙腸関節からの関連痛
股関節に痛みを感じても、実は腰や骨盤の関節が原因のことがあります。
神経の走行上、股関節前面や大腿部に放散痛を感じるため、注意が必要です。
🔹 診察で重視するポイント
当院ではまず、
「痛みの出る動作」「痛みの部位」「安静時や夜間の痛み」などを丁寧にうかがいます。
続いて、
-
関節の動き(可動域)
-
圧痛点の確認
-
関節水腫の有無
-
誘発テスト(FADIRテスト、Patrickテスト、McMurrayテストなど)
を通じて、関節内の問題か関節外の問題かを鑑別(予想)します。
初診時にMRI撮影まで行ってご説明までできればよいのですが、残念ながら現在MRI機器は当クリニックにありません。
そのため、まず関節ブロック(キシロカイン:抜歯などの際に使用する麻酔薬です)を行い、関節内の痛みかどうかを初診時に鑑別することがあります。
その後、担当医が必要だと判断した場合は、MRI撮影を近隣の施設で(紹介状をお書きします)行っていただき、画像のCD-ROMを当院にお持ち帰りいただいて、病変を視覚的に(目で見て)患者さんといっしょに確認し、治療方針を決めていきたいと考えております。
🔹 まとめ:レントゲンで「異常なし」でも原因はあります
「骨に異常がない=痛みがない」ではありません。
膝や股関節の痛みは、軟部組織・筋肉・滑膜・骨の内部変化など、さまざまな要因が関係しています。
MRIや超音波検査を併用しながら、
痛みの本当の原因を突き止め、リハビリや生活指導を含めた治療を行うことが大切です。
🏥 東京整形外科ひざ・こかんせつクリニックでは
当院では、レントゲンだけで判断せず、丁寧な診察とリハビリ評価を通じて、痛みの根本にアプローチしています。
「原因がわからない」「どこに行っても改善しない」と感じている方も、どうぞ一度ご相談ください。
渡部直人 専門分野 膝・股関節

日本整形外科学会専門医、日本骨粗鬆症学会認定医、医学博士
ひざや股関節が痛くて来院された方が診察と検査を通じて痛みの原因を特定し、正しい治療を経て痛くないひざ、股関節を取り戻す手助けをさせていただきたいと思っています。