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人工膝関節置換術を考える時期

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人工膝関節置換術はどんなときに必要?

膝の痛みがひどくなってきたと感じたとき、人工膝関節置換術を受けるべきかどうか迷うことがあります。

この記事では、人工膝関節置換術をどんな状態のときに検討するのかを、当院の考え方としてまとめました。


1.「レントゲンが悪い=すぐ手術」ではありません

まず大前提としてお伝えしたいのは、
レントゲン所見だけで「手術が必要」とは決まらないということです。

 レントゲン上の変形(変形性膝関節症)がかなり進んでいても、「膝の痛みはあるけれど、日常生活は普通に送れる」という方もいらっしゃいます。

 一方で、変形がそれほど高度でなくても、「膝の痛みで買い物にも行けない」、「夜も膝が痛くて眠れない」という方もいらっしゃいます。

そのため、当院では

「画像の状態」+「膝の痛みの強さ」+「日常生活への影響」

を総合的に考慮して、人工膝関節置換術の手術適応を患者さんと一緒に検討していきます。


2.症状から見た人工膝関節置換術の目安

次のような状態が長く続いている場合、人工膝関節置換術が選択肢としてあがります。

 痛み止めや湿布を使っても、ほぼ毎日膝が痛い

 歩き始めや立ち上がりの一歩目で、鋭い膝の痛みが出る

 近くのスーパーまで歩くだけでも膝がつらく、外出がおっくうになっている

 階段の昇り降りが痛みで難しく、手すりがないと怖い

 夜間や就寝中にも膝がズキズキして、眠りが妨げられている

 正座やしゃがみ込みができないだけでなく、着替えや家事など、日常生活にも影響が出ている

これらは、痛みや機能低下により生活の質(QOL)が大きく損なわれている状態といえます。


3.保存療法を十分に行っても改善しない場合

人工膝関節置換術は、「いきなり行う治療」ではなく、保存療法を行っても十分な改善が得られない場合の「最終手段」として位置づけられます。

当院でも、まずは以下のような保存治療を組み合わせて行います。

 内服薬・外用薬(痛み止め、消炎鎮痛剤 など)

・  ヒアルロン酸などの関節内注射(最初に関節ブロックを行い、痛みが関節由来であることを確認します)

 理学療法士によるリハビリテーション(筋力トレーニング、ストレッチ、動作指導)

 インソールなど装具の工夫

・  体重コントロール

これらを一定期間(数ヶ月〜半年程度)続けたにもかかわらず、膝の痛みや生活の支障がほとんど変わらない場合には、次の治療として人工膝関節置換術を検討します。


4.レントゲン(画像)から見た「進行度」

もちろん、レントゲン所見やMRI所見も大切な判断材料です。一般的には、次のような状態が見られると、変形性膝関節症としてかなり進行した段階と考えられます。

 関節裂隙(大腿骨と脛骨の間の関節のすき間)がほとんど消失している

 O脚(内反変形)やX脚(外反変形)が進行し、見た目にも脚が曲がってきている

 骨の硬化や骨棘(こつきょく:トゲ状の骨の変化)がはっきりしている

ただし、繰り返しになりますが、「レントゲン所見が悪いから手術」ではなく、必ず「症状・生活の困りごと(QOLの低下)」とセットで判断することが重要です。


5.年齢・全身状態・ライフスタイルも重要なポイント

人工膝関節置換術は、膝の痛みを和らげ歩行能力を高めるうえで非常に有効な治療ですが、一度行うと元には戻せない「大きな決断」でもあります。

そのため、当院では次のような点も丁寧に確認します。

 年齢や今後の活動量(お仕事・趣味・ご家族の介護など)

 心臓病・糖尿病・腎臓病などの持病の有無や、そのコントロール状況

 手術後にリハビリへ通院できる環境があるか、ご本人が術後リハビリをご自身でも自宅などで続けられるか

 ご本人・ご家族が「どこまでの改善を望んでいるか」

「できるだけ自分の足で外出を続けたい」、「家族と旅行に行けるようになりたい」など、生活の目標や希望も、手術適応を考えるうえでとても大切な要素です。


6.「早めの手術」を検討した方がよいケース

次のような場合には、あまり先延ばしにせず、早めに手術を検討したほうがよいこともあります。

 膝の痛みのため、ほとんど歩けず、日常生活に支障をきたしている

 変形が高度で、このままではさらにO脚が進行しそうな状態

 骨壊死リウマチなどで、関節が短期間に急速に壊れている

これらの状況で無理を続けると筋力が落ち、転倒や骨折のリスクも高まります。
「まだ我慢できるから」と先延ばしにすることで、かえって術後リハビリが大変になってしまうケースも少なくありません。

早期手術を検討したほうが良いと外来主治医が判断した場合には、外来で患者さんに早めの手術を提案させていただくケースもございます。


7.まとめ:手術の適応は医師と患者さんがいっしょに「相談して決める」もの

人工膝関節置換術の適応は、

 膝の痛みの強さ、膝の痛みが続いている期間

 日常生活や仕事、そして趣味への影響

 保存療法をどれくらい行ったか、また、その効果がどの程度か

 レントゲンなどの画像所見

 年齢、持病(既往)、生活スタイル、ご本人の希望

といった要素を総合的に見て判断する必要があります。

「レントゲンが悪いからすぐ手術」でも、「まだ歩けるから一切手術は考えない」でもありません。

「今の膝の痛み、生活の不自由さを、どこまで改善したいか」

そのお気持ちを伺いながら、当院では手術以外の選択肢も含めて、一緒に検討してまいります。

膝の痛みでお悩みの方や、手術を勧められたが迷っている方は、まずは一度、東京整形外科ひざ・こかんせつクリニックにご相談ください。
丁寧な診察とわかりやすい説明で、最適な治療方針をご提案いたします。


 

当院では、レントゲンだけで判断せず、丁寧な診察とリハビリ評価を通じて、痛みの根本にアプローチしています。
「原因がわからない」「どこに行っても改善しない」と感じている方も、どうぞ一度ご相談ください。

渡部直人 専門分野 膝・股関節・骨粗鬆症

日本整形外科学会専門医、日本骨粗鬆症学会認定医、医学博士

ひざや股関節が痛くて来院された方が診察と検査を通じて痛みの原因を特定し、正しい治療を経て痛くないひざ、股関節を取り戻す手助けをさせていただきたいと思っています。

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