関節リウマチとは
今回のkey point
関節リウマチは、体の中の「免疫」という仕組みが自分自身を攻撃してしまう自己免疫の病気 |
朝のこわばりや関節の痛み・腫れなどの症状が出てきて、進行すると関節変形を伴います |
診断は血液検査などが用いられます |
関節リウマチとは?~早めの気づきと治療で元気な毎日を~
はじめに
「朝、手がこわばってうまく動かせない」
「指の関節がずっと腫れていて痛い」
こんな症状でお困りではありませんか?
もしかすると、その症状の原因は関節リウマチかもしれません。
関節リウマチは、体の中の「免疫」という仕組みが自分自身を攻撃してしまう自己免疫の病気です。特に手や足の関節に炎症が起きて、痛みや腫れ、動かしづらさが出てくるのが特徴です。進行すると関節が変形してしまうこともあります。
でも、今は治療法が進歩しており、早く見つけて、しっかり治療すれば、痛みのない生活を目指すことも可能です。
この記事では、「関節リウマチとは何か?」という基本から、原因・症状・検査・治療・手術・リハビリまで、わかりやすくご紹介します。
関節リウマチってどんな病気?
関節リウマチは、自分の体の免疫が間違って関節を攻撃してしまう病気です。本来、免疫はウイルスや細菌などの外敵から体を守る働きをしますが、リウマチではこの免疫が暴走して、自分の関節を敵とみなしてしまうのです。
特に、手首や指、ひざ、足の指の関節に症状が出やすく、両手・両足など左右対称にあらわれるのが特徴です。
また、関節だけでなく、肺や目、血管などの内臓にも炎症が広がることもあり、全身の病気としても注意が必要です。
どんな症状が出るの?
リウマチでよく見られる症状は、次のようなものです。
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朝のこわばり(朝起きた時に関節が固まっていて動かしにくい。30分以上続くことも)
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関節の腫れや痛み(指や手首、ひざ、足の関節が腫れて赤くなったり、痛んだりします)
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左右対称に出る痛み(例:両手の指が同じように痛い)
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だるさ、微熱、食欲が出ないなどの全身症状
最初は少しの痛みでも、放っておくと関節が壊れて変形したり、動かなくなったりすることもあります。
なぜ起こるの?
関節リウマチのはっきりした原因はまだ分かっていません。ただ、いくつかの「なりやすくなる条件」は知られています。
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女性に多い(男性の約4〜5倍といわれます)
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家族にリウマチの人がいる
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喫煙歴がある
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ストレスや感染症との関連があるともいわれる
こうした要因が、免疫のバランスを崩し、リウマチの発症につながると考えられています。
どうやって診断されるの?
関節リウマチの診断では、次のような検査や診察が行われます。
1. 症状のチェック
医師が、痛みのある関節の数、左右対称かどうか、朝のこわばりなどを確認します。
2. 血液検査
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リウマトイド因子(RF)
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抗CCP抗体
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炎症の程度をみるCRPや赤沈(ESR)
これらの数値が高いと、リウマチの可能性が高くなります。
3. 画像検査
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レントゲンで関節の変化を調べる
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エコーやMRIで炎症や関節の傷み具合を早期にキャッチすることも
最近は、こうした情報をもとに、スコア制で診断基準を満たすかどうかを判断する方法(ACR/EULAR分類基準)というものも使われています。
治療法は?~「寛解」を目指す時代へ
以前は、「リウマチ=関節が壊れる病気」と思われていましたが、今は違います。早めに診断して適切な薬を使えば、症状を抑えて進行を止めることができます。
目標は「寛解(かんかい)」といって、症状がほとんどなくなる状態です。
主な治療法
● 抗リウマチ薬(DMARDs)
体の免疫異常を根本から治す薬。中でもメトトレキサートという薬がよく使われます。
● 生物学的製剤・JAK阻害薬
より進んだ免疫調整薬。注射や飲み薬があり、効果が高いとされています。費用はやや高めですが、公的補助制度がある場合もあります。
● 消炎鎮痛剤(NSAIDs)やステロイド
痛みや炎症を和らげる目的で使います。ただし、根本的な治療薬ではありません。
薬の効果や副作用をみながら、医師が定期的にチェックして薬を調整していきます。
手術が必要になることもある?
治療がうまくいかず、関節がひどく壊れてしまった場合には、手術が選択肢になることもあります。
主な手術
痛みの軽減や動作の改善が期待でき、生活の質(QOL)を大きく向上させることができます。
リハビリって必要なの?
リウマチの治療では、薬だけでなくリハビリもとても大切です。
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関節を固めないためのストレッチや運動
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筋力の維持・向上
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生活での工夫や道具の使い方指導
無理のない範囲で、理学療法士の指導のもと、安全に続けていくことが症状の安定につながります。
まとめ
関節リウマチは、「慢性的な関節の炎症を起こす病気」でありながら、今はしっかり治療すれば寛解も目指せる時代になっています。
「最近、関節がずっと痛い」「朝のこわばりが気になる」
そんなときは、自己判断せず、一度、整形外科で相談してみることをおすすめします。
症状が軽いうちから動き出すことで、将来の関節の変形や痛みを防ぎ、元気に過ごせる毎日につながります。
参考文献
・日本リウマチ学会 関節リウマチ診療ガイドライン2024改訂